テントをカスタマイズしてみた!

青森県八戸市で洋服お直しをしております、Oh!Oh!(ダブルオウ)です。

今回ご依頼いただいたのは、当店初となるテント!

いきなりですが、完成したテントをご覧ください。

じゃーん

このテントは「ハップテント」と言って、簡単&スピーディーに設営できる、軍隊が使用しているテントです。ベースは軍用ですが、その機能性からソロキャンプなどでも大人気。3〜4枚の幕で構成されていて、バラバラにしていろんな用途に使えます。

そしてこの生地、実際に軍で使用しているものと同じなのです!「軍幕」と呼ばれていて、丈夫で燃えにくく、キャンプにぴったり。

(丈夫過ぎて、針が通るかビクビクしていましたが、無事に完成してほっとしました)

それでは、今回はどんなお直しになったのか、ご相談内容を紹介していきます。

依頼1 幕同士を繋げる穴を付けたい

このテント、4枚のバラバラの幕でできています。なので、幕と幕を繋ぐ必要があります。

写真の右側、黄色っぽい幕が2枚重なっているのがわかるでしょうか。ここにはすでに穴が空いていて、固定する金具もついていました。

なので、左側の緑っぽい幕にも穴をあけて、一緒に固定することにしましょう!

まずは穴を開けていきます。

手元に穴を開ける工具はありますが、穴を補強する道具がない。

ということで、買いました。ステンレス製のハトメと、それ専用の打ち棒。

こうやってすぐ高いの買うから利益が(以下略

なぜステンレスかと言うと、丈夫で錆にくいから。テントは屋外でガツガツ使うので、気兼ねなく使える素材が良いですよね。

ただ、よく目にするハトメはほとんどがアルミか真鍮製で、ステンレス製はマイナー。なにせ、めっちゃ硬いので、家庭で簡単に付けることができない。しかも、真上から正確に打たないと、変形してしまう厄介ものだからです。

そういった理由で、ハトメを打つ道具もそれなりに良いものが必要だろうと思い、ケチらず、専用の良いやつを買った次第です。

さぁ、実際の作業を見ていきましょう。まずは穴あけです。

見えづらいですが、軍幕の下に補強用のレザーを置いていて、一緒に穴を空けています。

そして、空いた穴にハトメを通します。

専用の打ち具をセットして…

打ちます!

きれいに打てました。これが表側。

裏はこんな感じ。

そしたらこの補強レザーをミシンでしっかりと縫い付けていきましょう。

地味ですが、縫い目が素材になじむよう、上糸と下糸の色を変えています

ハトメに沿って縫っていきます。

きれいにできました。

裏はこんな感じ。

余分なところをカットします。これで頑丈な穴のできあがり。

いよいよジョイントです!

ばっちりですね!穴の強度も申し分ないです。引っ張ってもびくともしませんし、布へのダメージもありません。大成功です。

依頼2 ファスナーで手軽に開閉したい

これまでは、テントを開け閉めするために、ボタンを一個一個付け外ししていました。下の写真をよくみると、緑色の幕にボタンホールがついているのがわかるでしょうか。たくさんのボタンをいちいち付けたり外したりするのは、結構しんどい。冬だとなおさら。

そこで、ボタンの代わりにファスナーで開閉できるようにしたい、というご希望でした。

ところがどっこい、これが結構難しく…

悩みながらオーダーしたのがこちら!

特徴は

1)信頼と実績のYKK製!

2)オーダー可能な最大幅の10mm! めっちゃ丈夫!

3)表裏どちらからも開閉できる両面スライダー!

4)錆びに強いオール樹脂製!(ひっぱる部品も樹脂製なのはレア)

Amazonでも似たようなファスナーがあったのですが、軍幕のような分厚い布に使うには、かなりの強度が必要。さらに、暴風・極寒・大雨など、過酷な状況で使用されるので、品質面がやや心配。ということで、安心・安全・高品質のYKK製をご提案しました。フルオーダーなので、届くまでに4週間かかります。ご依頼者様にも気長にお待ちいただきました。

4週間後、工場からオーダーしたファスナーが届きましたので、早速つけていきましょう。

まず、ファスナーを縫う前の下準備。

下の写真のように、まち針で全体を仮止めしてみて、スムーズな開閉ができるよう、取り付け位置を微調整していきます。

何度かテストして、スムーズに開閉できるベストな位置を確認しました。

よーし、では縫っていきましょう。

軍幕をなんとか縫っている父

そして、できあがりが冒頭にも載せたこちらの写真!

中からも外からも、スムーズに開閉でき、とても気持ち良い仕上がりです。

お直しは以上です。

今回もとても楽しく対応させていただきました。貴重な経験をさせていただき、ご依頼者様に感謝です。

もしテントをカスタマイズしたい方、同じようにファスナーでお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお知らせくださいね。ベストな方法をご提案いたします!